アルタムエンゼルの飼育方法

アルタムエンゼルについて

本種はコロンビアのオリノコ水系に生息するエンゼルで、以前は7〜8月の暑い時期から日本へ入荷
シーズンが始まり、シーズン開始当初は500円玉サイズの幼魚が輸入され、シーズンオフの12月頃ごろ
になるとXLサイズの個体がぼろぼろの状態で入荷されてくるのが通説でしたが、地球温暖化の影響
か、最近では5〜6月頃にシーズンが始まり、翌年の春頃まで輸入されてくるのが普通です。
本誌8月号のワイルドエンゼルの飼育法で「導入時は高水温で!」と書きましたが、紙面が足りず舌
足らずの表現になりましたので、今回は高水温で飼育する理由も詳しく解説していきましょう。

導入時の注意事項

「アルタムは難しい!」とは良く聞かれる言葉ですが、アルタムと言えども所詮はエンゼルです。何故ア
ルタムだけが難しいのか?!それはただ単にアルタムの特性がちゃんと理解されていないからではないで
しょうか。水質にこだわる方は多いのですが、水温にこだわる方は何故か皆無だったようです。以前、
情報が少なかった頃は「その年の初物は丈夫!」と言われましたが、それは入荷時期が日本の夏季
にあたる為、輸入時に比較的水温が低下する事が少ないので状態が崩れないからだとはいえないで
しょうか?ですから日本に入荷した当初は28℃〜30℃の比較的高水温で飼育し、新陳代謝を早め
て飼育する事が重要です。又、単独飼いですといじけてしまう事が多々ありますので、出来れば5匹
〜10匹単位で購入した方が生存率も高く、その後の成長も早いようです。

購入時の注意事項

 健康なアルタムエンゼルを購入するコツは、「常にワイルドエンゼルを扱いなれている専門店」で購入
する事です。ひとたび落ち着いてしまえば10年単位で飼育可能な本種ですから、購入時の価格差な
どは長いスパンで考えればほとんど無意味ではないでしょうか?トリートメント済みの健康な個体を手
に入れてください。健康な個体の見分け方は、
1、アルタムの収用されている水槽の前に立つとアルタムがエサをねだりにやってくるか?
2、水槽の上部に手をかざし、左右に振ると敏感に反応するか?
3、全てのヒレがちゃんとしているか?
4、肌はただれていないか?
逆に危険な個体の特徴は
1、ななめ45度を見上げ、水槽の角で「ぼー」としている。
2、手を振りかざしても一向に反応しない。
3、目が白濁している。
4、肌の一部がただれている。
5、水槽の前に立っただけで怯える。
アルタムエンゼルで一番怖いのは、「アルタムは死ぬ直前までエサを食べる!」という事です。通常はエ
サ食いが良ければ状態が良いと考えますが、アルタムだけはこの常識が当てはまらないので注意が必
要です。

水槽導入時の注意点

「トリートメント済み」の個体を購入した場合はすんなりとメイン水槽に導入すればいいのですが、少し
でも怪しげな個体の場合は「トリートメントタンク」でしばし様子を見た方が良いでしょう。水槽のサイズ
は導入する個体の大きさによっても変わりますが、500玉サイズの個体を10匹程度でしたら、45aのレ
ギュラー水槽で充分です。底砂は敷かずベアタンクにシンプルなスポンジフィルターで充分ですが、レギ
ュラーサイズのスポンジよりも大きめのスポンジを使用しましょう。水質については、本誌8月号でも解説
しましたが、中性以下の硬度の低い飼育水であればOKです。従来言われていたような「導入時は
pH4程度の酸性の水質が良い」等の意見はすでに過去の産物になっています。大切な事は、最初に
説明したように水温を28℃〜30℃に設定することと、充分にバクテリアの付着したスポンジフィルターを
使用する事です。ここで注意すべき点は、高水温で魚を飼育した場合、水の痛みが通常よりも早い
事です。これは考えてみれば当然のことなのですが、高水温で魚の新陳代謝が早まれば、排泄物の
量も当然増えます。当然、フィルターにはろ過能力の限界がありますので、常に早目の換水が必要に
なるわけです。特にエンゼルやディスカス等の体の表面積の広い魚の場合は、浸透圧の違いから体液
が体の外に流れ出し(肌が荒れて見える症状)アンモニアを体表から吸収してしまう自家中毒症状を
起こしやすくなりますので特に注意が必要です。

餌について

入荷直後の個体はいくら入念に水合わせをしても水槽に導入しても、水槽に導入した2〜3日ほどは
異常なまでに怯えます。人影や物音に怯え、餌を食べられないほどですが、2〜3日すれば物陰から
ちょこちょこと顔を出すようになりますので、その頃を見計らって餌を与えましょう。最初に与える餌は
「冷凍赤虫」や「孵化したてのブラインシュリンプ」がベストです。金銭的に余裕のある方でしたら、「赤
ヒレ」や「エサ用のエビ」等の生き餌もOKです。導入当初はとにかく餌を食べさせる事が先決になります
ので、くれぐれも嗜好性が高く、水質悪化の少ない餌を与えてください。
無事トリートメントも終わりメイン水槽も慣れた頃、一気に「人工飼料」にシフトチェンジしましょう。人
工飼料に替えた直後は口に入れては吐き出すの連続でしょうが、そこであきらめてはいけません。人
工飼料を食べないときは、1週間ほど絶食させてから、再度、挑戦してください。ほとんどの場合これ
で餌付くはずです。その後は、バランスよく人工飼料と生き餌を与えていきましょう。

水槽の大きさについて

 アルタムエンゼルは成魚になると背びれから腹びれの先端まで入れると30aほどになる大型のエンゼ
ルです。生後1年ぐらいまでなら、60aのレギュラーサイズの水槽でも2〜3匹飼育可能ですが、自慢
のヒレをグイグイ言わせて泳ぐ姿を堪能したいのであれば、最低でも120aのレギュラー、理想で言えば
180a×60a×60aぐらいの水槽でのびのびと飼育したいものです。
 使用するフィルターは各水槽の容量に見合った外部式パワーフィルターがBestです。この場合、付
属のウールマットなどは使用せず、ロ材は形状や大きさの違う数種類のリング状の物を混ぜたものだけ
にし、給水口に市販の大型スポンジを付け、そのスポンジをガンガン洗う事でロ材の目詰まりを防ぐ方
法が良いでしょう。

水槽のレイアウトについて

 メインタンクのレイアウトについてですが、理想は「大きな流木を配し、各種ワイルドエキノドルスの茂
った水草水槽」ですが、これにはコケ取り様のヤマトヌマエビがアルタムの食害に合うといった難点があり
ます。ヤマトヌマエビの代わりにサイヤミーズフライングフォックスやブラックモーリーなどの食害に合いにくい
魚を使い、足りない部分は人間が「オトシンクルスの気持ち」になってコケを落とすしかなさそうです。水
草では他にも「タイガーロータス」などもアルタムに似合いますが、くれぐれも密植しすぎてアルタムが泳ぐ
スペースを無くさないように気をつけましょう。

混泳魚について

誰しもが思う事は「カーディナルテトラ」との混泳ではないでしょうか?事実、私も過去に120a水槽で
300匹のカーディナルテトラと成魚サイズのアルタムエンゼル10匹を混泳させた事がありますが、残念な
がらカーディナルテトラは日に日に数を減らしてゆき、約一ヶ月後には0になった事があります。この事か
らも小さなテトラ類との混泳は無理と考えた方が良いようです。
相性の良い魚は、チェッカーボードシクリッドなどのディクロッススの仲間やデゥメリリエンゼルなどの他のワ
イルドエンゼル、ワイルドディスカス等のシクリッドの仲間でしょう。ワイルドエンゼル事態が派手な色彩を
しているわけではないので、混泳相手は少し派手な魚がオススメです。当然の事ですが、アルタムエン
ゼルにストレスを与えるような混泳魚はもってのほかです。

まとめ

これはどんな生き物に対しても言えることですが、同じ種類の生き物でも、病気になりやすい個体とな
りにくい個体がいます。これは元々その個体の持つ生命力の違いもあるでしょうが、ほとんどの場合、
住環境のストレスが大きな要因です。マウスの実験でもストレスを与え続けた個体は「癌」になりやす
く、ストレスの少ない個体は健康であったりします。兎に角、アルタムエンゼルの上手な飼育方法はい
かにストレスによるダメージを少なくするかでしょう。入荷時のケアーさえしっかりとすれば、10年単位で
優雅な姿を堪能させてくれる本種です。是非、大型水槽で本来の姿をお楽しみください。